7月 132019
 

2019年7月13日よりユーロスペースで公開される宮崎大祐監督の新作『TOURISM』のパンフレットにレビューを寄稿しました。

本作品は前作『大和(カリフォルニア}』の作品世界を引き継ぎつつも、まったく異なる仕方で作られていて、これまでの宮崎作品には見られなかった新しい魅力が爆発しています。私にとっての宮崎作品の魅力は、私たちが生きている「いま」の時間と場所の感覚を見事に切り取っている点にあります。前作が「ここ」の映画だったとすれば、今回の新作は「よそ」の映画であり、この二本の作品が描き出す「こことよそ」の感覚は、映画の主人公である若い女性たちにとってだけでなく、私にとってもとてもリアルなものです。軽快な小品でありながら、巨大な広がりを感じさせてくれる『TOURISM』をぜひ劇場でご覧ください。

それと、『VILLAGE ON THE VILLAGE』(2016 黒川幸則監督)、『夏の娘たち ひめごと』(2017 堀禎一監督)、『王国(あるいはその家について)』(2017 草野なつか監督)と近年の最重要作品の撮影を一手に引き受けている感のある渡邉寿岳さんが、今回も素晴らしい仕事をしています。こちらも注目です。

『TOURISM』は、ごく短期間で手早く仕上げられた小品という外見とは裏腹に、きわめて大胆な構想と野心に貫かれた快作だ。『TOURISM』は、『ゾンからのメッセージ』や『ワイルドツアー』と同様に、いまや明瞭な輪郭を失い、雲散霧消しつつあるようにすら思える「映画」を防壁で守られた閉域に匿う代わりに、〈いま〉の直中に深く沈め、そうすることでいまだ知られぬ映画の野生を探り当てようとする。そのさい『TOURISM』において映画を〈いま〉の直中へと誘うのは、観光客という存在である。観光客を通して、私たちの現在に特有の場所と移動の感覚が探求され、私たちと映像との関係の変容が浮き彫りにされるのである。(「観光客の惑星のピースフルな夜に」)

『TOURISM』公式ウェブサイト

<追記 2019. 08. 22>
9月8日に出町座で宮崎監督とトークします。
上映は17:45〜です。
ぜひご来場ください。
出町座HP

 

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