8月 242013
 

私が翻訳に関わったドイツの環境史家ヨアヒム・ラートカウ Joachim Radkau の仕事に関していくつか動きがあったので情報のアップデートをしておきます。
*『自然と権力』関連

同訳書のあとがきでも触れておいた、Social Science History Association の学術誌 “Social Science History” による『自然と権力』特集号がようやく出版されます。ラートカウが『自然と権力』において提出したグローバルな環境史の構想を、6人の研究者がそれぞれ異なる視点から批判的に検討しているようです。論者は『20世紀環境史』(名古屋大学出版会)の翻訳があるジョン・ロバート・マクニールなど。ラートカウ自身も “Nature and Power: An Intimate and Ambiguous Connection” というタイトルで論文を寄稿しています。
Social Science History. Volume 37, Number 3, 2013 : Table of Contents

ちなみにオンラインで比較的手軽に読める研究者によるレビュー(英語)として以下の二つを紹介しておきます。前者は肯定的、後者は批判的な評価をくだしています。
Nature and Power: A Global History of the Environment (reviewer: David Christian, Macquarie University, Sydney)
Towards a Truly Global Environmental History: A Review Article (reviewer: Alf Hornborg, Lund University, Sweden)

日本語のものとして、『パブリッシャーズ・レビュー』での安冨歩さんによる紹介文、『図書新聞』での小倉孝誠さん、金森修さんのコメントも載せておきます。(問題がありましたらお知らせください。>各位)

私が表象文化論学会のニューズレターに執筆した紹介文はこちらから読めます。
*『ドイツ反原発運動小史』関連

つい先日、『図書新聞』に三郷豊さんによる書評が掲載されました。こちらはオンラインでも読めるようになっています。
また『週刊読書人』でも田口卓臣さんに書評していただきました。(こちらも問題がありましたらお知らせください。>各位)
こちらについても私が表象文化論学会のニューズレターに紹介文を執筆しています。

ちなみに、ラートカウは今年の2月に新著 “Aufstieg und Fall der deutschen Atomwirtschaft ” を出版しました。本書は『反原発運動小史』でも「結論」を訳出した『ドイツ原子力産業の興隆と危機』(1983年出版)の改訂版です。福島の原発事故およびそれを受けたドイツの原子力技術からの完全撤退という新たな状況を踏まえ、前著の出版から現在までのあいだにドイツで生じた原子力政策と反原発運動の展開をも視野に収めて再構成されています。タイトルも『ドイツ原子力産業の興隆と没落』に改められました。なお本書でラートカウは、長年、ドイツの「原子炉安全委員会」で委員(および委員長)を務めた原子力技術の専門家ローター・ハーン(Lothar Hahn)の全面的な協力を得て、原子力政策・技術のインサイダーの視点も交えて原子力技術の社会史を記述しています。とりわけ、巻末の「総括と展望」は原子力エネルギーからの撤退とエネルギーシフトに関わる諸問題を論じていて、日本の状況を考えるうえでも示唆に富んでいます。

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