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2018年度 専門科目シラバス

表現文化学研究Ⅳ

●科目の主題
近年の視聴覚文化では、映像と音響、身体と声の非同期性をあからさまに強調したり、そこに生じる隔たりやずれを積極的に楽しんだりする傾向が観察できる。激しいダンスと口パクのヴォーカルを組み合わせるアイドルグループ、アニメーション表現における極端に静止的な画像と声の組み合わせの探求、自然らしさを放棄しあからさまにテレビアニメ的な音響効果を用いる2.5次元ミュージカル、身体と声のあからさまな分離の効果を強調するミュージックヴィデオ、アメリカの「リップシンク・バトル」のような口パクパフォーマンスを売りにする娯楽番組、口パクパフォーマンスを共有する Musical.ly のようなアプリの流行、そしてボーカロイドを利用したパフォーマンスにおける映像(身体)と音響(声)の分離と再結合といった事例に、そうした傾向を観察できる。今年度はこうした現代の視聴覚文化の動向をふまえつつ、多様なメディア表現における映像と音響、身体と声の関係を考察した国内外の基本文献や最新の研究論文を読み、具体的な事例について議論する。

●達成目標
メディアによって媒介される身体と声の関係を論じた文献の講読を通して、各自の研究にとって有益な視点や知見を獲得することを目指す。

●参考文献・教材 適宜、配布する。

表現文化学研究演習4

●科目の主題
近年の視聴覚文化では、映像と音響、身体と声をリアリスティックに同期させるのではなく、両者の非同期性をあからさまに強調したり、そこに生じる隔たりやずれを積極的に楽しんだりする傾向が観察できる。激しいダンスと口パクのヴォーカルを組み合わせるアイドルグループ、アニメーション表現における極端に静止的な画像と声の組み合わせの探求、自然らしさを放棄しあからさまにテレビアニメ的な音響効果を用いる2.5次元ミュージカル、身体と声のあからさまな分離の効果を強調するミュージックヴィデオ、アメリカの「リップシンク・バトル」のような口パクパフォーマンスを売りにする娯楽番組、口パクパフォーマンスを共有する Musical.ly のようなアプリの流行、そしてボーカロイドを利用したパフォーマンスにおける映像(身体)と音響(声)の分離と再結合といった事例に、そうした傾向を観察できる。今年度はこうした現代の視聴覚文化の動向をふまえつつ、多様なメディア表現における映像と音響、身体と声の関係を考察した国内外の基本文献や最新の研究論文を読み、具体的な事例について議論する。

●達成目標
メディア・テクノロジーによって媒介される身体と声の関係を論じた文献の講読を通して、各自の研究にとって有益な視点や知見を獲得することを目指す。

●参考文献・教材 適宜、配布する。

文化理論

●科目の主題
表現文化コースで学ぶ学生を主な対象として、文化の考察に不可欠な基本的視点と理論を概説します。表現文化コースにおける文化の研究は、文化的事象を歴史・社会・メディアの三つの視点から複合的に分析する点に方法論上の特徴がありますが、具体的に扱われる主題や対象は極めて多様です。したがって、ともすると個別的な主題や対象の多様性のなかにコースの全体像が見失われがちになります。この講義では、「文化」についての基本的な考え方をいくつかの基本文献の紹介を通して確認し、文化を考えるための柔軟な視点を獲得することを目指します。

●達成目標
文化の概念とその歴史的変遷を意識化するとともに、現代文化を考察するために不可欠な基本的な理論的視点を学習する。

●授業内容・授業計画
各回の講義では、その都度のテーマを論じるにあたって有益な視点を提供してくれる基本文献をひとつ取り上げ、その内容を紹介しながら考察を進めます。受講者が関心のあるテーマをより深く学べるように、基本文献の配布も行います。適宜、質問の時間も設ける予定です。

●評価方法
合計4回のレポートで評価する。

●受講生へのコメント
この講義は表現文化コースに進学した2回生(および新たに編入した3回生)に文化理論の導入を行うことを第一の目的としています。また多様な視聴覚資料を使用するため、教室の収容定員に一定の制限があります。したがって、履修登録者多数の場合には、表現文化コースの学生の履修を優先したうえで抽選を行うことがあります。

●参考文献・教材
適宜、配布する。

表現・表象文化論基礎演習 (江村公先生とのオムニバス)

●科目の主題
(1)作品分析の基礎を学ぶ。特定の方法論や理論にもとづく分析の一歩手前にとどまり、ひとつの具体的な対象としての作品と向き合い、それを構成している表現の特徴や構造を儒雲南に把握し、考察するレッスンを行う。作品は私たちの前に、ひとつの物質的なまとまりとして、たとえば書かれた言葉(小説、エッセイ)、描かれた線と記号(マンガ)、俳優の身体と声(演劇)、静止した光と影(写真)、明滅する映像の連なり(映画)として与えられています。この授業では、そのような物質的まとまりとしての作品がどのように形作られており、どのような動き、出来事がそこに生起しているのかをしているのかを明らかにするとともに、それを言葉によって記述するレッスンを行います。 (2)文献調査、画像編集にもとづく簡潔なプレゼンテーションを作成し、発表するレッスンを行う。口頭発表における補助資料の位置づけ正しくを理解し、プレゼンテーション用ソフトウェアの欠点と利点を把握した上で、効果的な発表資料を作成する技術を学習する。

●達成目標
(1)自分が感じたことを手がかりにに論理的に思考することを学ぶ。(2)口頭発表の方法と技術的補助手段の使用法を学ぶ。

●授業内容・授業計画
今回の授業では、マンガ、小説、絵画、写真、映画、演劇、現代美術を扱う。それぞれのジャンルについて、指定された作品の分析を行う。また学期末には作品分析の口頭発表を受講者全員にしてもらう。

●事前・事後学習の内容
授業開始前に授業で取り扱う課題に関する資料を本授業のウェブサイトに掲載する。必ず事前に内容を確認し、それに関した小レポートを締め切りまでに提出する。授業終了後は添削された小レポートを確認して、理解・分析の問題点を整理しておく。

●評価方法
6回のレポートと口頭発表で評価する。

●受講生へのコメント
この授業は表現文化コースに新たに進学した2回生向けの授業です。他コースの学生は受講できません。

●参考文献・教材
作品資料は授業内で配布します。

表現・表象文化論演習Ⅳ

●科目の主題
ひとつの映画作品は膨大な数の映像と音響の組み合わせによって構成されています。そこには映像だけでなく、字幕、台詞、ナレーション、音楽、環境音(ノイズ)、視覚効果など多様な要素が含まれます。そうした諸要素が相互に特定の仕方で関係づけられることで、映画作品という複雑にして精妙な構築物が成立します。通常、作品分析と呼ばれる作業は、それがどんなに詳細なものであっても、そうした膨大な情報量を含んだ映画作品のごく限定された側面に触れるにすぎません。この授業では映画作品を場面ごとに上映し、適宜、文献なども参照しながら、共同で作品分析を展開します。多数の視点からひとつの作品を見ることを通して、映画表現の複雑さと意味作用の豊かさを具体的に把握することを目指します。

●達成目標
最終的なコンセンサスを志向しないオープンな議論を通して映画作品の表現上の特徴や技法や主題や意味作用を考察し、映画表現の多面性と意味作用の複雑さを理解する。また映画を議論し考察する方法についても学習する。

●授業内容・授業計画
授業では2本の映画作品を取り上げる予定です。まず映画ははじめから最後まで上映し、その後、場面ごとの上映を議論を行います。

●評価方法
評価方法は、場面の議論のための導入発表と議論への参加にもとづいて行う。導入発表は各場面の考察の口火を切る口頭発表です。評価対象となるのは議論への参加であって、授業への参加(=出席)ではないので注意すること。この授業では、必ずしもひとつの結論に到達することを目的とせずに議論し、多様な意見を出しあい、できるだけ多くの視点や解釈を持ち込むことで作品分析を豊かにすることが目指されます。したがって、出席していても発言しない受講者は欠席とみなされます。毎回の議論に実質的に参加する受講者のみが単位を取得できる仕組みを用意します。

●受講生へのコメント
(1)この授業は、受講者が映画表現について最低限の知識も持ち、映画を考察するための基礎概念を学んでいることを前提しています。したがって、2017年度の「表象文化論」(担当:海老根剛)を受講し、単位取得していることを受講の条件とします。昨年度の「表象文化論」を受講していないが本授業の受講を希望する者は、映画表現について学んでいることを何らかの仕方で証明すること。 (2)全員が参加する議論を可能にするために、受講人数は最大15名とします。希望者多数の場合には、初回の授業の出席者から抽選するので必ず出席すること。 (3)積極的に議論に参加する(=発言する)意欲のある学生のみ受講すること。(4)作品上映の授業日は、作品の長さによって授業時間を大幅に超過する可能性があります。このことを了解のうえ出席できる学生のみ受講するように。

●参考文献・教材
適宜、配布する。

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