【刊行】『人形浄瑠璃の「近代」が始まったころ 観客からのアプローチ』
このたび和泉書院から書籍を刊行しました。大正末期から昭和十年代にいたる人形浄瑠璃の歩みを観客史の観点から論じた著作です。タイトルが示す通り、演者や興行主ではなく、劇場で舞台を楽しんでいた観客たちの経験に注目して、人形浄瑠璃の「近代」の始まりを描き出しています。古典芸能を愛する人だけでなく、古典芸能なるものに違和感(胡散臭さ)を感じている人にとっても面白く読める本になっていると思います。内容を簡単に紹介します。
このたび和泉書院から書籍を刊行しました。大正末期から昭和十年代にいたる人形浄瑠璃の歩みを観客史の観点から論じた著作です。タイトルが示す通り、演者や興行主ではなく、劇場で舞台を楽しんでいた観客たちの経験に注目して、人形浄瑠璃の「近代」の始まりを描き出しています。古典芸能を愛する人だけでなく、古典芸能なるものに違和感(胡散臭さ)を感じている人にとっても面白く読める本になっていると思います。内容を簡単に紹介します。
事後報告になってしまいましたが、新年早々1月4日に出町座で前田多美監督とお話ししました。『KYロック!』は、前作同様、広島の街を舞台にしたミュージシャンの物語ですが、加藤雅也さんや大塚寧々さんといった経験豊富なプロの俳優陣を迎え、前作とは異なる新たなチャレンジを行っています。前田監督が実践する自主映画の戦い方はもっと注目されていいと思います。
12月22日(日曜日)に京都大学西部講堂で開催される宇宙映画上映会 Vol. 4 にて、松村浩行監督の作品が特集上映されます。私は松村監督とトークをする予定です。入場無料ですので、ぜひご来場ください!
先日の出町座でのトークでも少し話したけれど、黒沢清監督の近年の作品は、あからさまな反復の印のもとにある。蒼井優に始まり(『贖罪』第一話、2011年)蒼井優で終った(『スパイの妻』、2020年)10年間の黒沢作品が、一見するとじつに多彩で、自己反復を拒否するかにみえながら、ときに抑… Read More »2024年版『蛇の道』雑感黒沢作品の現在についてのメモ
黒沢清監督作品(『CURE』、『Chime』、『Cloud クラウド』)が連続上映されるのに合わせて、出町座でトークを行うことになりました。まだ準備をしているところなのでどうなるかはわかりませんが、『モダンラブ・東京』とともに顕在化したようにみえる新たなサイクルの行方を注視すると同時に、一見、多彩に展開したようにみえる2010年代の黒沢作品についても再考する機会になりそうです。
2024年秋に日本独文学会で開催されたシンポジウムにもとづく論集がオンライン刊行されました。同シンポジウムでは、2000年代以降に人文学諸分野で生じた群集(Masse)という主題の再浮上と、それに伴う19世紀末以来の群集をめぐる思考の枠組みの捉え直しに注目し、集団の行動 (ふるまい)に関する新たな知見も視野に収めつつ、今日的な視点から両大戦間のドイツ語圏の文学にみられる群集表象を再検討することを試みました。本論集はそこでの発表をベースにしつつも、全面的に改稿された論考から構成されています。具体的には、アルフレート・デープリン、ヘルマン・ブロッホ、エルンスト・ユンガー、フロイト、マルティン・ケッセル、クラカウアーといった作家のテクストに現れる群集の表象と群集をめぐる思考が論じられます。
2024年9月に新国立劇場で開催された文楽鑑賞教室はなかなか興味深いものだった。忘れないうちにメモしておきたい。今回、わざわざ東京の公演を見に行ったのは、二つの理由からだった。ひとつは、会場が現代演劇で使われるブラックボックスの劇場(The Pit)だったこと。もうひとつは、新作… Read More »文楽座東京公演の照明と国立劇場の現在
前回のポストからあっという間に一年以上経ってしまった・・・。去年の5月からのおよそ1年間は、本を書く作業に注力していた。テーマは人形浄瑠璃の観客史で、昭和初年の大阪に登場した新しい観客たちに注目することで人形浄瑠璃の「近代」に新たな角度から光を当てることを試みている。傍目からは突… Read More »新しい始まりの予感
『違国日記』
表象文化論学会の学会誌『表象』18号に書評を執筆しました。田邊恵子さんの著書『一冊の、ささやかな、本 ヴァルター・ベンヤミン『一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代』研究』です。本書はめでたく第15回表象文化論学会賞(奨励賞)を受賞しました。
表象文化構造論研究 今年度も昨年度に引き続き「動画」としてのアニメーション研究の方法論を議論していきます。今年度の授業では、動画としてのアニメーション表現の方法論を探究する手がかりになる基本文献を読んでいきますが、映像表現のデジタル化の進行によって実写とアニメーションの境界が不分… Read More »2024年度 専門科目シラバス
日本独文学会秋季研究発表会でシンポジウム「シンポジウム「「群集」を再訪する——ただしパトスなしに / 両⼤戦間期ドイツ語圏の⽂学における群集表象の再検討」で研究発表を行います。
このシンポジウムでは、2000 年代以降に⼈⽂学諸分野で⽣じた群集(Masse)とい う主題の再浮上と、それに伴う 19 世紀末以来の群集をめぐる思考の枠組みの再検討、および集団の⾏動に関する新たな知⾒の形成を念頭において、両⼤戦間のドイツ語圏の⽂学にみられる群集表象を読み直すことを試みます。
すでに5月。2月くらいからここまで猛烈に忙しい。頭はフルに使っているのでまったく退屈することはないけれども、映画について書く時間がなかなか取れない。とはいえ、あんまりなにもしないでいると批評の運動神経が鈍るので、三日前に見た三宅唱監督の作品について簡単に書いてみよう。 三宅監督が… Read More »若くあることと老いていること 三宅監督の『1999』についてのメモ