表象文化構造論研究
今年度は実写映画とアニメーションの研究における特定のトピックについて、研究文献の購読と作品の検討を行う。具体的には、現在の映像めぐる文化環境を概観するテクストを読んだ後に、(1)実写映画と都市空間との結びつき、(2)アニメーションにおける「動き」の研究、(3)映像表現と観客との関係といった主題を扱う予定です。
適宜、受講者の関心に合わせて購読する文献を調整します。また文献購読に合わせて作品上映と議論も行います。
他専攻・他専修の院生の受講を歓迎します。
表象文化構造論研究演習
前期に引き続き、実写映画とアニメーションの研究における特定のトピックについて、研究文献の購読と作品の検討を行う。具体的には、現在の映像めぐる文化環境を概観するテクストを読んだ後に、(1)「装置論」に関する理論的テクストの再読、(2)「装置論」のアニメーション論への展開、(3)認知科学的視点からみた観客論といった主題を扱う予定です。
適宜、受講者の関心に合わせて購読する文献を調整します。また文献購読に合わせて作品上映と議論も行います。
他専攻・他専修の院生の受講を歓迎します。
表現文化論基礎演習
作品分析の基礎を学ぶ。特定の方法論や理論にもとづく分析の一歩手前にとどまり、ひとつの具体的な対象としての作品と向き合い、それを構成している表現の特徴や構造を具体的に把握し、考察するレッスンを行います。作品は私たちの前に、ひとつの触知可能なまとまりとして、たとえば書かれた言葉(小説、エッセイ)、描かれた線と記号(マンガ)、 俳優の身体と声(演劇)、静止した光と影(写真)、明滅する映像の連なり(映画)として与えられています。この授業では、そのような触知可能なまとまりとしての作品がどのように形作られており、どのような動き、出来事がそこに生起しているのかを明らかにするとともに、それを言葉によって記述するレッスンを行います。
また、文献調査、画像編集にもとづく簡潔なプレゼンテーションを作成し、発表するレッスンを行います。口頭発表における補助資料の位置づけ正しくを理解し、プレゼンテーション用ソフトウェアの欠点と利点を把握した上で、効果的な発表資料を作成する技術を学習します。
今年度の授業では、マンガ、小説、絵画、写真、映画、演劇、現代美術を扱います。それぞれのジャンルについて、指定された作品の分析を行う。学期末には作品分析の口頭発表を受講者全員にしてもらうことになります。
表象文化論
本講義のねらいは、映像作品の考察のための基礎作りです。対象としては実写映画とアニメーション、および近年のデジタル映像を扱います。考察される作品は映画が中心になりますが、映画以外の動画表現の分析にも不可欠な映像リテラシーの習得に役立つはずです。今年度は実写映画とアニメーションを同じ割合で扱いながら、両者に通底する視点とそれぞれの表現に特徴的な側面に注目して多様な映像表現を考察していきます。またAI技術にもとづく映像表現が急速に普及しつつある現状を踏まえて、「実写」表現とは何であったのかを映画史的観点から再検討する予定です。
この授業では、毎回、いくつかの作品から特定の場面を取り上げ、その場面の特徴やそこで用いられている技法を考察しながら、映画表現の多様な側面に光を当てていきます。またそれらの考察を通して、映画の分析に不可欠な基礎概念の導入も行います。
授業では Microsoft Forms を活用します。
この講義では、みなさんに多くの作品に触れてもらい、映像作品を考察するための言葉を獲得してもらうことが目標です。したがって、受講者の積極的な参加が求められます。
表象文化論演習
今年度は、現代の日本映画を代表する映画作家である黒沢清監督の作品を対象として取り上げ、具体的な作品の観賞を通して映画研究の具体的な方法論とトピックを学習します。黒沢清監督のキャリアはデビュー作『神田川淫乱戦争』(1984年)から最新作『Cloud クラウド』(2024年)まで40年間に及び、多数の作品が発表されているが、今回の授業では特に1990年代から2020年代までに作られた7作品を対象とする。授業では、黒沢監督自身の著作やインタビュー、黒沢作品について書かれた批評や研究論文を参照しながら作品を鑑賞し、複眼的な視点から一人の映画作家の仕事を考察することを目指す。狭義の作家研究の枠組みに留まらず、映画表現論、ジャンル研究、映像技術の変遷史、制作体制やスタッフとの共同作業に注目する映画史的研究といった、映画表現を研究する多様な方法を学びます。
表現文化論特殊演習1
今年度の授業では「リアリズム/リアリティ/リアル」をテーマとして、さまざまな表現ジャンルを「現実」との関係において考察していきます。
「リアリズム」、「リアリティ」、「リアル」はいずれも「現実」と関係する概念ですが、芸術表現の研究においては、それぞれ異なる意味合いで使用されます。
「リアリズム(写実主義)」が現実の模倣(再現)を重視する歴史的な表現様式を指すのに対し、「リアリティ」はフィクションの「本当らしさ」を規定する(歴史的に変遷する)コードを意味しています。他方、「リアル」はリアリズムともリアリティとも異なる次元、ときに「リアリズム」の様式や「リアリティ」のコードが破綻するときに露呈する何ものかを指して用いられることがあります(その意味で「リアル」は「真実」と関係づけられることがあります)。
この授業では、この三つの概念を手がかりにして、芸術表現と現実との多様な結びつきについて考えていきます。
前半の授業では、小説、マンガ、実写映画、アニメーション、絵画、写真、現代美術といったジャンルにおける「リアリズム/リアリティ/リアル」を論じた基本文献を講読します。
後半の授業では、受講者各自が選択した対象についての自由発表と議論を行います。
この演習は江村公先生と共同で実施します。