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2022年度 専門科目シラバス

表象文化構造論研究 今年度は一年を通して「動画」としてのアニメーション研究の方法論を議論していきます。日本のアニメーション(アニメ)を研究するトーマス・ラマールは、2009年の著書『アニメマシーン』の序論において、現在のアニメ研究はアニメーションが「動画」からなることを看過してい… Read More »2022年度 専門科目シラバス

最高にかっこいい映画監督

青山真治監督が亡くなった。私は監督に近い人からなんとなく状況を聞いていたので、心の準備をしながら最近の日々を過ごしていた。もしなにも知らずに訃報に触れていたならば、ほんとうに打ちのめされるようなショックを受けただろうと思う。もちろん喪失感は大きい。監督が boid マガジンに連載… Read More »最高にかっこいい映画監督

近松という参照点:『人間浄瑠璃』雑感

苦節30年、いよいよ本当に開館した大阪中之島美術館で、森村泰昌&桐竹勘十郎による『人間浄瑠璃 新・鏡影奇譚』を見てきた。私は近代の人形浄瑠璃の観客史に関心があり、大正から昭和までの資料を調べ、論文も書いているが、研究関心の消失点をなしているのは、リアルタイムで進行中の人形浄瑠璃の… Read More »近松という参照点:『人間浄瑠璃』雑感

〈いま〉と〈ここ〉の複層性への旅
『映画愛の現在』三部作(佐々木友輔監督)

新作であれ旧作であれ、映画館で作品が公開されるタイミングというのは、「映画が生まれつつあるいまこのとき」といった意味合いで語られる「映画の現在」とはほとんと関係がない。ある作品がある特定の時点に私たちのもとに届くのは、市場(資本主義)がそれを望んだからであって、作品に内在する何ら… Read More »〈いま〉と〈ここ〉の複層性への旅
『映画愛の現在』三部作(佐々木友輔監督)

映画が姿をあらわすとき
『FUGAKU』シリーズのためのいくつかの補助線

青山真治監督が多摩美術大学で教鞭を執っていたときに学生たちと制作したした『FUGAKU』シリーズが、ストリーミングサイト GHOST STREAM で配信されることになりました。配信開始に合わせて、3つの中編からなるこのシリーズのユニークな魅力について、いくつかの切り口から考察しました。作品鑑賞と合わせてご一読いただければ幸いです。

ポン・ジュノ or ホン・サンス? – ポン・ジュノ and ホン・サンス!
『ドライブ・マイ・カー』&『偶然と想像』

ナンニ・モレッティの『親愛なる日記』にとても好きな場面がある。それは三部構成の第一部「ベスパに乗って」の一場面で、モレッティが交差点で信号待ちをしていると隣にオープンカーがやってきて停車する。この車とそれを運転している男を見たモレッティは、不意にベスパから降りて男に近づき、一方的… Read More »ポン・ジュノ or ホン・サンス? – ポン・ジュノ and ホン・サンス!
『ドライブ・マイ・カー』&『偶然と想像』

傾きゆく世界に立つ /『彼女はひとり』

地方都市に住んでいると新作映画についてタイミングよくTwitter でつぶやくのが難しい。ハリウッドや邦画のメジャーな作品を除いて新作映画の公開日は東京から数週間から数ヶ月遅れるのが普通なので、ようやく見た時点ではたいていTwitter での盛り上がりの時期を過ぎている。もちろん… Read More »傾きゆく世界に立つ /『彼女はひとり』

日本フランス語フランス文学会東北支部大会で研究発表します

11月27日にオンラインで開催される日本フランス語フランス文学会東北支部大会のシンポジウム「生誕200周年記念シンポジウム ボードレールの《世界性》–– 西洋と東洋の境界を越えて ––」で研究報告をすることになりました。
[2022/05/03 追記]当日の発表の要旨が学会のサイトに公開されました。

ドイツと日本の総選挙の基礎データ比較(メモ)

今年の秋はドイツの連邦議会(Bundestag)と日本の衆議院で相次いで選挙があった。 ドイツでは誰も望んでいなかった大連立がようやく終わり、社会民主党(SPD)・緑の党(die Grünen)・自由民主党(FDP)の連立政権が成立しそうな流れ。日本では政権交替を望まない人々が投… Read More »ドイツと日本の総選挙の基礎データ比較(メモ)

アメリカのミュージカル映画のスタイル(リック・アルトマン)

授業で使用するために日本語に訳した文章を公開します。今回翻訳したのは、Rick Altman: The American Film Musical. (Indiana University Press, 1987) の第4章 The Style of the American Film Musical にある “Audio Dissolve” と題された1節です。訳出した部分では、ミュージカル映画における音楽の機能的特徴、そして歌・音楽・ダンスの結びつきが明晰に論じられています。

メディア技術に媒介された文化におけるライヴ・パフォーマンス(フィリップ・オースランダー)

授業用教材として翻訳したフィリップ・オースランダーの文章を公開します。 Philip Auslander: Liveness. Performance in A Mediatized Culture (Second Edition, 2008) の第2章 “Live performance in a mediatized culture” の部分訳です。オースランダーの著作は複製技術メディアとライヴ的なものの関係を議論するさいの基本文献として、いまなお重要性を失っていないと思います。今回はオースランダーによるライヴ性(Liveness)概念の再検討の中核をなす部分を取り出して訳出しています。

自由の制限を制限すること:法規制レジームと自粛レジーム

最近ドイツのニュースを読んだり見たりしていると、毎日のように、新型コロナウィルス対策としてなされる行動規制とその緩和を争点とする裁判とデモの報道がある。たとえば、最近話題になった事例として、ベルリンのシャルロッテンブルクのディスコが、ダンス禁止の州条例に異議を申し立て、ベルリンの… Read More »自由の制限を制限すること:法規制レジームと自粛レジーム