2020年度 専門科目シラバス

表象文化構造論研究

● 科目の主題
映像の制作・流通・受容の全過程がほぼ完全にデジタル化した現在、20世紀の映像表現の考察において自明の前提をなしていた諸カテゴリーがことごとく機能不全に陥っているようにみえる。たとえば、実写/アニメーション、動画/静止画、視覚(見ること)/触覚(触れること)はもはや対立概念であることをやめ、ショット/モンタージュという映画表現の基本原理もコンポジティングの論理に浸透されて骨抜きにされていく。また、現在、日々生み出される膨大な映像の多くは、もはや人間によって撮影されることも、見られることも、必ずしも必要としていない。フローと化した映像は、まずマシンによって「見られ」、アルゴリズムによって「読まれ」るのであり、その後ではじめて私たちの前に姿を現す。今年の授業では、こうした映像のあり方の変容を、国内外の多様な文献を参照しながら 考えてみたい。
出発点として、生命をめぐるテクノロジーの進展とアニメーション映像の進化を the animatic apparatus(アニメー ション装置)という概念を用いて分析する Deborah Levitt の著作 “The Animatic Apparatus. Animation, Vitality, and the Future of the Image” (2018, Zero Books) を購読する。本書では押井守のアニメーションや初音ミクのライブなども論じられているので、適宜、具体例を参照しながら議論を進めたい。その後、アニメーションやデジタル映像に関する基本文献や技術的文献も参照しながら、現在の映像のありようについて考察を深めていく予定。

●到達目標
現代の映像表現の考察を通して現代文化の変容を考察する。またそこで得られた知見をみずからの研究に役立てる。

●受講生へのコメント
Deborah Levitt の著作は狭い意味でのアニメーション研究ではなく、映像表現を通して現代社会の変容を考察するメディア研究です(著者自身は media ethology と呼んでいます)。各自の研究関心に引き寄せて文献を読み、みずからの研究に役立ててください。

●参考文献・教材
Deborah Levitt. The Animatic Apparatus. Animation, Vitality, and the Future of the Image, 2018, Zero Books. など。

表象文化構造論研究演習

●科目の主題
後期の授業も前期に引き続いて現在の映像のあり方を考察する。
映像の制作・流通・受容の全過程がほぼ完全にデジタル化した現在、20世紀の映像表現の考察において自明の前提をなしていた諸カテゴリーがことごとく機能不全に陥っているようにみえる。たとえば、実写/アニメーション、動画/静止画、視覚(見ること)/触覚(触れること)はもはや対立概念であることをやめ、ショット/モンタージュという映画表現の基本原理もコンポジティングの論理に浸透されて骨抜きにされていく。また、現在、日々生み出される膨大な映像の多くは、もはや人間によって撮影されることも、見られることも、必ずしも必要としていない。フローと化した映像は、まずマシンによって「見られ」、アルゴリズムによって「読まれ」るのであり、その後ではじめて私たちの前に姿を現す。今年の授業では、こうした映像のあり方の変容を、国内外の多様な文献を参照しながら 考えてみたい。
出発点として、生命をめぐるテクノロジーの進展とアニメーション映像の進化を the animatic apparatus(アニメー ション装置)という概念を用いて分析する Deborah Levitt の著作 “The Animatic Apparatus. Animation, Vitality, and the Future of the Image” (2018, Zero Books) を購読する。本書では押井守のアニメーションや初音ミクのライブなども論じられているので、適宜、具体例を参照しながら議論を進めたい。その後、アニメーションやデジタル映像に関する基本文献や技術的文献も参照しながら、現在の映像のありようについて考察を深めていく予定。

●到達目標
現代の映像表現の考察を通して現代文化の変容を考察する。またそこで得られた知見をみずからの研究に役立てる。

●受講生へのコメント
Deborah Levitt の著作は狭い意味でのアニメーション研究ではなく、映像表現を通して現代社会の変容を考察するメディア研究です(著者自身は media ethology と呼んでいます)。各自の研究関心に引き寄せて文献を読み、みずからの研究に役立ててください。
前期の授業の続きなので、前期の「表象文化構造論研究」を履修していることが望ましい。

●参考文献・教材
Deborah Levitt. The Animatic Apparatus. Animation, Vitality, and the Future of the Image, 2018, Zero Books. など。

表象文化論

●科目の主題
本講義のねらいは、映像作品の考察のための基礎作りです。対象としては実写映画とアニメーション、および近年のデジタル映像を扱います。考察される作品は映画が中心になりますが、映画以外の動画表現の分析にも不可欠な映像リテラシーの習得に役立つはずです。

●到達目標
この講義では、みなさんに多くの作品に触れてもらい、映像作品を考察するための言葉を獲得してもらうことが目標です。したがって、受講者の積極的な参加が求められます。なお第1回目の授業の前に見ておいてもらう映画作品をポータルサイトで伝えますので、受講者は必ず対象作品を見たうえで授業に参加してください。

●授業内容・授業計画
毎回、いくつかの作品から特定の場面を選んで上映し、その場面の特徴やそこで用いられている技法を考察しながら、映画表現の多様な側面に光を当てていきます。またそれらの考察を通して、映画の分析に不可欠な 基礎概念の導入も行います。

●評価方法
中間レポートと期末レポートで評価する。

●受講生へのコメント
使用教室の制限上、受講希望者多数の場合には履修制限を行う。その場合、表現文化コースの学生を優先したうえで、 残りについて抽選を行う。受講を希望する者(表現文化コースの学生も含む)は、必す初回の授業に出席すること。

●参考文献・教材
適宜、プリントを配布する。

表現文化論基礎演習(江村公先生とのオムニバス)

●科目の主題
(1)作品分析の基礎を学ぶ。特定の方法論や理論にもとづく分析の一歩手前にとどまり、ひとつの具体的な対象としての作品と向き合い、それを構成している表現の特徴や構造を具体的に把握し、考察するレッスンを行う。作品は私たちの前に、ひとつの触知可能なまとまりとして、たとえば書かれた言葉(小説、エッセイ)、描かれた線と記号(マンガ)、俳優の身体と声(演劇)、静止した光と影(写真)、明滅する映像の連なり(映画)として与えられています。この授業では、そのような触知可能なまとまりとしての作品がどのように形作られており、どのような動き、出来事がそこに生起しているのかを明らかにするとともに、それを言葉によって記述するレッスンを行います。
(2)文献調査、画像編集にもとづく簡潔なプレゼンテーションを作成し、発表するレッスンを行う。口頭発表における補助資料の位置づけ正しくを理解し、プレゼンテーション用ソフトウェアの欠点と利点を把握した上で、効果的な発表資料を作成する技術を学習する。

●到達目標
(1)自分が感じたことを手がかりに論理的に思考することを学ぶ。(2)口頭発表の方法と技術的補助手段の使用法を学ぶ。

●授業内容・授業計画
今回の授業では、マンガ、小説、絵画、写真、映画、演劇、現代美術を扱う。それぞれのジャンルについて、指定された作品の分析を行う。また学期末には作品分析の口頭発表を受講者全員にしてもらう。

●評価方法
6回のレポートと口頭発表て評価する。

●受講生へのコメント
この授業は表現文化コースに新たに進学した2回生向けの授業です。他コースの学生は受講できません。

●参考文献・教材
作品資料は授業内で配布する。

表象文化論演習

●科目の主題
ひとつの映画作品は膨大な数の映像と音響の組み合わせによって構成されています。そこには映像だけでなく、字幕、台詞、ナレーション、音楽、環境音(ノイズ)、視覚効果など多様な要素が含まれます。そうした諸要素が相互に特定の仕方で関係づけられることで、映画作品という複雑にして精妙な構築物が成立しています。
この授業では、ひとつの映画作品を、いっさい省略せずに最初から最後まで場面ごとに上映し、適宜、文献なども参照しながら共同で作品分析を展開します。多数の視点からひとつの作品を見ることを通して、映画表現の複雑さと意味作用の豊かさを具体的に把握することを目指します。

●到達目標
最終的なコンセンサスを志向しないオープンな議論を通して、映画作品の表現上の特徴や技法や主題や意味作用を考察し、映画表現の多面性と意味作用の複雑さを理解する。この授業が目指すのはひとつの結論(「正解」)に到達することではなく、リラックスした雰囲気の中で多様な意見を出しあい、できるだけ多くの視点や解釈を持ち込むことで作品分析を豊かにすることです。
また、日本の学生が非常に苦手とするフラットでオープンな議論、すなわち教員があらかじめ所有していると想像される「正解」を求めて競い合うのではなく、楽しみながら議論することを通して、参加者(教員も含む)の誰もがそれ以前には考えてもみなかったような事柄を共同で発見する議論のレッスンをすることも、もうひとつの目的です。

●授業内容・授業計画
各回の授業では、映画の場面を上映したあとでその場面についてフリーディスカッションを行います。そのさい、出席者は持ち回りで進行役を担当します。今回の授業では2本の作品を扱う予定です。

●評価方法
評価は司会の担当と議論への参加にもとづいて行います。評価対象となるのは議論への参加であって、授業への参加(=出席)ではないので注意すること。出席していても議論に参加しない(=発言しない)受講者は欠席とみなします。

●受講生へのコメント
(1)この授業は、受講者が映画表現について最低限の知識を持ち、映画を考察するための基礎概念を学んでいることを前提しています。したがって、2019年度前期開講または2020年度前期開講の「表象文化論」(担当:海老根剛)を受講し、単位取得していることを受講の条件とします。
(2)作品上映の授業日は、作品の長さによって規定の授業時間を超過する可能性があります(その場合には、お昼休みの時間から上映を行います)。このことを了解のうえ受講のこと。作品上映に欠席した場合、発表・議論にも参加できません(やむを得ない理由の場合は除く)。

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