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2023年度 専門科目シラバス

表象文化構造論研究

今年度も昨年度に引き続き「動画」としてのアニメーション研究の方法論を議論していきます。
日本のアニメーション(アニメ)を研究するトーマス・ラマールは、2009年の著書『アニメマシーン』の序論において、現在のアニメ研究はアニメーションが「動画」からなることを看過していると指摘しました。物語の解釈や主題をめぐる哲学的思弁、日本社会論・日本文化論的な議論に傾倒するあまり、アニメーション表現のもっとも基本的な特徴とそれに由来する表現上の諸問題への原理的考察が抜け落ちているという指摘でした。
その指摘から10年以上の時間がたち、いまではアニメーション表現論の試みが盛んになされるようになってきています。またこれまでアニメーションを周縁的な表現として扱ってきた「実写」映画の研究者たちも、アニメーションと実写表現を統一的に捉え分析し得る視点や方法論を盛んに探究し始めています。
今年度の授業では、動画としてのアニメーション表現の方法論を探究する手がかりになる基本文献を読んでいきますが、映像表現のデジタル化の進行によって実写とアニメーションの境界が不分明なものとなっていることをふまえ、(1)アニメーション表現についての文献、(2)デジタル化以後の「実写」映画についての文献、(3)動画表現一般についての文献という3種類の文献を交互に読み進めます。また研究論文だけでなく、実作者のインタビューやエッセイ・対談なども扱う予定です。
さらに実写表現とアニメーション表現を統一的な視点から考察することを目指すアプローチが、不用意にこれまで実写表現あるいはアニメーション表現の分析が立脚してきた概念的カテゴリーを一般化する傾向があることをふまえ、アニメーション表現を分析するさいに用いられてきた概念装置と実写表現を考察する際に用いられてきた概念装置の違いにも注意を向けていきます。
他専攻・他専修の院生の受講を歓迎します。

 

表象文化構造論研究演習

前期に引き続き後期の授業でも「動画」としてのアニメーション研究の方法論を議論していきます。
日本のアニメーション(アニメ)を研究するトーマス・ラマールは、2009年の著書『アニメマシーン』の序論において、現在のアニメ研究はアニメーションが「動画」からなることを看過していると指摘しました。物語の解釈や主題をめぐる哲学的思弁、日本社会論・日本文化論的な議論に傾倒するあまり、アニメーション表現のもっとも基本的な特徴とそれに由来する表現上の諸問題への原理的考察が抜け落ちているという指摘でした。
その指摘から10年以上の時間がたち、いまではアニメーション表現論の試みが盛んになされるようになってきています。またこれまでアニメーションを周縁的な表現として扱ってきた「実写」映画の研究者たちも、アニメーションと実写表現を統一的に捉え分析し得る視点や方法論を盛んに探究し始めています。
今年度の授業では、動画としてのアニメーション表現の方法論を探究する手がかりになる基本文献を読んでいきますが、映像表現のデジタル化の進行によって実写とアニメーションの境界が不分明なものとなっていることをふまえ、(1)アニメーション表現についての文献、(2)デジタル化以後の「実写」映画についての文献、(3)動画表現一般についての文献という3種類の文献を交互に読み進めます。また研究論文だけでなく、実作者のインタビューやエッセイ・対談なども扱う予定です。
さらに実写表現とアニメーション表現を統一的な視点から考察することを目指すアプローチが、不用意にこれまで実写表現あるいはアニメーション表現の分析が立脚してきた概念的カテゴリーを一般化する傾向があることをふまえ、アニメーション表現を分析するさいに用いられてきた概念装置と実写表現を考察する際に用いられてきた概念装置の違いにも注意を向けていきます。
他専攻・他専修の院生の受講を歓迎します。

 

表現文化論基礎演習

作品分析の基礎を学ぶ。特定の方法論や理論にもとづく分析の一歩手前にとどまり、ひとつの具体的な対象としての作品と向き合い、それを構成している表現の特徴や構造を具体的に把握し、考察するレッスンを行います。作品は私たちの前に、ひとつの触知可能なまとまりとして、たとえば書かれた言葉(小説、エッセイ)、描かれた線と記号(マンガ)、 俳優の身体と声(演劇)、静止した光と影(写真)、明滅する映像の連なり(映画)として与えられています。この授業では、そのような触知可能なまとまりとしての作品がどのように形作られており、どのような動き、出来事がそこに生起しているのかを明らかにするとともに、それを言葉によって記述するレッスンを行います。
また、文献調査、画像編集にもとづく簡潔なプレゼンテーションを作成し、発表するレッスンを行います。口頭発表における補助資料の位置づけ正しくを理解し、プレゼンテーション用ソフトウェアの欠点と利点を把握した上で、効果的な発表資料を作成する技術を学習します。
今年度の授業では、マンガ、小説、絵画、写真、映画、演劇、現代美術を扱います。それぞれのジャンルについて、指定された作品の分析を行う。学期末には作品分析の口頭発表を受講者全員にしてもらうことになります。

 

表象文化論

本講義のねらいは、映像作品の考察のための基礎作りです。対象としては実写映画とアニメーション、および近年のデジタル映像を扱います。考察される作品は映画が中心になりますが、映画以外の動画表現の分析にも不可欠な映像リテラシーの習得に役立つはずです。今年度は実写映画とアニメーションを同じ割合で扱いながら、両者に通底する視点とそれぞれの表現に特徴的な側面に注目して多様な映像表現を考察していきます。
毎回、いくつかの作品から特定の場面を取り上げ、その場面の特徴やそこで用いられている技法を考察しながら、映画表現の多様な側面に光を当てていきます。またそれらの考察を通して、映画の分析に不可欠な基礎概念の導入も行います。
授業では Microsoft Forms を活用します。
この講義では、みなさんに多くの作品に触れてもらい、映像作品を考察するための言葉を獲得してもらうことが目標です。したがって、受講者の積極的な参加が求められます。

 

表象文化論演習

ひとつの映画作品は膨大な数の映像と音響の組み合わせによって構成されています。そこには映像だけでなく、字幕、台詞、ナレーション、音楽、環境音、視覚効果など多様な要素が含まれます。そうした諸要素が相互に特定の仕方で関係づけられることで、映画作品という複雑にして精妙な構築物が成立します。
この授業では、ひとつの映画作品をいっさい省略せずに最初から最後まで場面ごとに上映し、適宜、文献なども参照しながら共同で作品分析を展開します。多様な視点からひとつの作品を見ることを通して、映画表現の複雑さと意味作用の豊かさを具体的に把握することを目指します。
授業では実写映画とアニメーション映画を取り上げます。
最終的なコンセンサス(合意)を志向しないオープンかつフラットな議論を通して、映画作品の表現上の特徴や技法、主題や意味作用を考察し、映画表現の多面性と意味作用の複雑さを理解することを目指します。この授業で私たちが試みるのは、はひとつの結論(「正解」)に到達することではなく、リラックスした雰囲気の中で多様な意見を出しあい、できるだけ多くの視点や解釈を持ち込むことで作品体験を豊かにすることです。
加えて日本の人々が非常に苦手とするフラットでオープンな議論あるいは「おしゃべり」のレッスンをすることも、この授業のテーマのひとつです。すなわち、教員があらかじめ所有していると想像される「正解」を求めて競い合う「答え合わせのような議論」ではなく、お互いの意見の相違を楽しみながら話し合うことを通して、参加者(教員も含む)の誰もがそれ以前には考えてもみなかったような事柄を共同で発見することを目指します。

 

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