関西のミニシアター4館(シネ・ヌーヴォ、元町映画館、京都みなみ会館、出町座)が共同企画し、注目の若手映画作家を紹介する特集上映「次世代映画ショーケース 2021」が今年も開催されます。昨年はコロナウィルスの感染拡大のため開催できませんしたが、2019年度の第1回は大いに盛り上がりました。
『王国』の上映後に草野なつかさんとお話しした前回に続き、今回は『アウトゼア』の伊藤丈紘監督と上映後に対談します。『王国』は唯一無二ともいえる形式をもった開かれた映画でしたが、『アウトゼア』もまたきわめて独創的な形式をそなえた開かれた映画です。
3月13日 『アウトゼア』(17:50-)上映後 出町座にて
映画館で映画を見ること。それは、私にとって、「自分」の「いま」と「ここ」から引きさらわれるような経験であり、何かを発見することであるよりも、あるいはそれ以前に、(すべてを)見失うことと結びついた何かです。それはかならずしも、別の時代や別の場所に身を移して、別の人物(登場人物)になる経験ではなく、「いま」と「いつか」、「ここ」と「どこか」、「自分」と「誰か」のあいだで宙吊りになり、漂流する経験です。
『アウトゼア』は、きわめて純度の高い「漂流の持続」からなる映画なのではないかと思います。そして、まさしくそれゆえに、映画館で見られるべき作品だと言えるでしょう。ぜひお越しください。