私も編集委員として協力している表象文化論学会の学会誌『表象』第20号が刊行されました。今年(2026年)は表象文化論学会設立20周年ということで、「表象文化論の二〇年」と題した特集を組んでいます。歴代の会長によるエッセイ(拡大巻頭言)、入江哲朗さんの論考、そして「表象文化論と教育実践」を議論する共同討議という構成です。
「表象文化論」という学問分野は日本独自のものであり、海外に正確に対応する学問分野が存在するわけではありません(なので英語表記の仕方がつねに問題になります)。その意味ではローカルな知の形態だとも言えるのですが、他方ではまた、20世紀後半以降に世界的規模で進展した人文学の変容に根ざした動向でもあり、表象文化論および表象文化論学会の形成は、日本の人文知の展開に一定のインパクトを及ぼしてきたと言えると思います。表象文化論学会の設立当初からの歩みを振り返り、現在位置を測定し、未来を展望する本特集を通して、日本の人文知のあり方の変化も見てとれるのではないかと思います。私は共同討議で司会を担当しました。
『表象』は学会誌であると同時に一般書店で販売される雑誌でもあり、学会の20周年を記念した特集を組むことに不安がなかったわけではありませんが、できるかぎり内向きにならず、外部の人びとの眼差しや関心にも開かれた特集になるように努めたつもりです。毀誉褒貶あるのではないかと思いますが、ご感想をいただけるとありがたいです。
前号に続き、今号も多彩な投稿論文を掲載することができました。これまで『表象』ではあまり扱われてこなかった主題を扱った論文もあり、いまなお現在進行形で進化中の表象文化論の広がりを感じられるラインナップになっていると思います。
