9月 082018
 

sousho102015年度に開催された大阪市立大学国際学術シンポジウム「文化接触のコンテクストとコンフリクト EU諸地域における環境・生活圏・都市」の発表と議論をもとにした論集が刊行されました。

本書では、トランスナショナルな人・モノ・情報の移動が常態化した世界のなかで、人々が場所と取り結ぶ関係が複雑化・複層化し、コミュニティが断片化していくとき、いかなる共生の可能性をなお見出すことができるのかを、「共同生活圏」という概念を切り口にして、歴史的な視野から考察しています。

私は第1部に収録されたヨアヒム・ラートカウ氏の講演「古い都市と森林 持続可能性の隠された諸起源」の翻訳と、第2部「〈合同生活圏〉 共生か敵対か?」の解題執筆を担当しています。

出版社ウェブサイト

ご関心のおありの方はお手に取っていただけると幸いです。

 

11月 252015
 

Symposium15このたび大阪市立大学文学研究科では国際シンポジウム「文化接触のコンテクストとコンフリクト EU諸地域における環境・生活圏・都市」を開催します。私は企画運営に関わっています(当日、司会もします)。ヨーロッパの諸地域と日本における都市や環境をめぐるコンフリクトの事例を取り上げながら、異なる文化や社会集団に属する人々の共生可能性(conviviality)の場としての共同生活圏が対立や葛藤を通して形成される文脈を考察します。特別ゲストとしてドイツから環境史学者ヨアヒム・ラートカウ氏(ビーレフェルト大学名誉教授)と都市民族学者ヴォルフガング・カシューバ氏(ベルリン・フンボルト大学教授)を招聘し、日本の気鋭の研究者を交えて発表と議論を行います。ぜひご参加ください。

日時 2015年12月4日(金)−12月6日(日)

会場 初日は大阪歴史博物館講堂、二日目・三日目は大阪市立大学田中記念館

プログラム こちらのチラシをご覧ください。

事前申込不要・参加費無料

8月 242013
 

私が翻訳に関わったドイツの環境史家ヨアヒム・ラートカウ Joachim Radkau の仕事に関していくつか動きがあったので情報のアップデートをしておきます。

 
*『自然と権力』関連

同訳書のあとがきでも触れておいた、Social Science History Association の学術誌 "Social Science History" による『自然と権力』特集号がようやく出版されます。ラートカウが『自然と権力』において提出したグローバルな環境史の構想を、6人の研究者がそれぞれ異なる視点から批判的に検討しているようです。論者は『20世紀環境史』(名古屋大学出版会)の翻訳があるジョン・ロバート・マクニールなど。ラートカウ自身も "Nature and Power: An Intimate and Ambiguous Connection" というタイトルで論文を寄稿しています。

Social Science History. Volume 37, Number 3, 2013 : Table of Contents

ちなみにオンラインで比較的手軽に読める研究者によるレビュー(英語)として以下の二つを紹介しておきます。前者は肯定的、後者は批判的な評価をくだしています。

Nature and Power: A Global History of the Environment (reviewer: David Christian, Macquarie University, Sydney)

Towards a Truly Global Environmental History: A Review Article (reviewer: Alf Hornborg, Lund University, Sweden)

日本語のものとして、『パブリッシャーズ・レビュー』での安冨歩さんによる紹介文、『図書新聞』での小倉孝誠さん、金森修さんのコメントも載せておきます。(問題がありましたらお知らせください。>各位)

私が表象文化論学会のニューズレターに執筆した紹介文はこちらから読めます。

 
*『ドイツ反原発運動小史』関連

つい先日、『図書新聞』に三郷豊さんによる書評が掲載されました。こちらはオンラインでも読めるようになっています。 また『週刊読書人』でも田口卓臣さんに書評していただきました。(こちらも問題がありましたらお知らせください。>各位)
こちらについても私が表象文化論学会のニューズレターに紹介文を執筆しています。

ちなみに、ラートカウは今年の2月に新著 "Aufstieg und Fall der deutschen Atomwirtschaft " を出版しました。本書は『反原発運動小史』でも「結論」を訳出した『ドイツ原子力産業の興隆と危機』(1983年出版)の改訂版です。福島の原発事故およびそれを受けたドイツの原子力技術からの完全撤退という新たな状況を踏まえ、前著の出版から現在までのあいだにドイツで生じた原子力政策と反原発運動の展開をも視野に収めて再構成されています。タイトルも『ドイツ原子力産業の興隆と没落』に改められました。なお本書でラートカウは、長年、ドイツの「原子炉安全委員会」で委員(および委員長)を務めた原子力技術の専門家ローター・ハーン(Lothar Hahn)の全面的な協力を得て、原子力政策・技術のインサイダーの視点も交えて原子力技術の社会史を記述しています。とりわけ、巻末の「総括と展望」は原子力エネルギーからの撤退とエネルギーシフトに関わる諸問題を論じていて、日本の状況を考えるうえでも示唆に富んでいます。

7月 062012
 

自然と権力このたびドイツの環境史家ヨアヒム・ラートカウの『自然と権力』をみすず書房から翻訳出版しました。ドイツ近代史家の森田直子さんとの共訳です。この日本語版では、ドイツ語初版(2000年)を底本にしつつ、英語版(2008年)でなされた主要な改訂も反映し、さらに日本の環境史を論じた一節と序言、あとがきを書き下ろしで収録しています。したがって、ほとんど改訂版に近い内容です。

"原子力、気候変動、食の不安、生殖のテクノロジー・・・。現在、いたるところで環境が政治の課題となり、人間の自然との関わりが権力の行使と結びついている。だが、自然と権力の結びつきは20世紀後半に初めて成立したのではない。本書は、多様な地域と時代をめぐり、グローバルな構造とローカルな特異性を照らし合わせながら、自然と権力の関係の歴史的展開を論じている。人間と自然のハイブリッドな諸結合の組織化、解体の過程を緻密に描き出し、環境への眼差を一新する環境史の試みである。"(裏表紙より)

エコロジストとアンチ・エコロジストを等しく挑発するラートカウの環境史を、ひとりでも多くの読者に味わっていただきたいと思います。

目次などの書籍情報はみすず書房のサイトをご覧ください。

本書を紹介する小文を以下に掲載します。ほぼ同じものが出版社のサイト(上記)にも掲載されています。

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12月 232011
 

“なぜ文化学は自然を対象領域のひとつとすべきなのだろうか? 古代ギリシア以来、「おのずからそこにあり、成長するもの」(physis)は、「みずからの存在を他の存在に負っているもの、この他の存在によって<措定される>もの」(thesei)から区別されてこなかっただろうか? 文化学と自然科学との近代的な区分は、自然と文化とを概念的に区別することによって準備されたのではなかったか? 文化学は自然を、それと物質的に関わりをもつ者たちに、つまり、自然科学者や技術者や農民たち等々にゆだねるべきではないだろうか? 科学の美徳である経済性という観点からいっても、文化学をこの自然という領域から解放し、負担を軽減してやることが賢明とはいえないだろうか? しかし、いくつかの理由からそうすることは不可能である。”

本論考は、ベルリン・フンボルト大学文化学研究所において文化理論担当教授を務めるハルトムート・ベーメ(Hartmut Böhme)氏が、2000 年に出版された文化学(Kulturwissenschaft)の入門書のために執筆した論文です。英米のカルチュラルスタディーズとは異なるアクセントを持つベルリン文化学の特徴のひとつである「自然の文化史」という主題系を簡潔に概観しています。
初出は『表現文化』(大阪市立大学大学院文学研究科表現文化学教室) no. 1、2006年 です。

自然の文化史(PDF)

12月 192011
 

大阪市立大学大学院文学研究科重点研究では、環境史家のヨアヒム・ラートカウ氏(ドイツ・ビーレフェルト大学名誉教授)を招聘してシンポジウムを開催します。広く一般に公開しますので、ご関心のおありの方はお気軽にご参加ください。パンフレット(PDF)

**シンポジウム概要**

「消え行く森、生まれ変わる森 –– 森の近代を問う」

日時:2012年1月29日(日) 10:30-17:00
会場:エルおおさか701号室
主催:大阪市立大学大学院文学研究科

報告者|報告題目
ヨアヒム・ラートカウ(ドイツ・ビーレフェルト大学名誉教授)
"Origins of sustainable forestry in Germany and Japan: A comparative and revisionist approach."
安富歩(東京大学)・永井リサ(大阪大学)
「満州の森は消えた−−社会生態史の試み」
山田勇(京都大学名誉教授)
"Wise use of poor resources and mismanagement of rich resources: Comparative eco-resource utilization history in the tropic and the mountains."
塚田孝(大阪市立大学)
「和泉地域の開発と村落の変容」

コメンテーター:水野祥子(九州産業大学)

*英語報告に関しては、通訳はありませんが日本語訳原稿ないし日本語訳要旨を配布いたします。