4月 032018
 

boidマガジンに映画評を寄稿しました。今回は宮崎大祐監督の『大和(カリフォルニア)』について書いています。本作は2018年4月7日より、新宿のK’s cinema を皮切りに全国6都市の映画館で順次公開されることになっています。米軍厚木基地の立地である大和市を舞台にしたこの作品は、日本とアメリカの関係を主題にした作品としてだけでなく、今日の地方都市の匿名的で貧しい風景と映画がいかに向き合うのかという点でも、ヒップホップの思想と音楽性を物語の中枢に導入する試みとしても、非常に野心的な作品になっています。
登録なしに無料で読むことができますので、ご一読いただけるとうれしいです。

『大和(カリフォルニア)』というタイトルは、単に実在する二つの場所の名称を組み合わせることで、日本とアメリカという二つの国の関係を示唆しているにすぎないのではない。私たちはむしろ、「大和(カリフォルニア)」という言葉を、この作品がはじめて切り開く未知の土地の名として理解すべきだろう。本作は米軍基地に隣接する都市に生きる若者たちのドキュメンタリー的なポートレートではない。この作品で宮崎監督が試みているのは、「大和」を「カリフォルニア」によって二重化することで解き放たれる「フィクションの力」に賭けることなのである。現実をフィクションによって二重化し、距離化することで、アイデンティティーと社会的プロファイリングの牢獄から登場人物を解放し、「ホーム」の経験を語る別のやり方を発見すること。これが『大和(カリフォルニア)』の挑戦であり、本作はそれに成功している。

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12月 272014
 

大学の授業で用いる教材として、アドルノの英語論文 "On Popular Music" を訳出しました。この論文はStudies in Philosophy and Social Science に1941年に発表された論文ですが、成立時期が『啓蒙の弁証法』の「文化産業」の章に近く、そこで論じられている主題の多くがここでも扱われています。しかもそれらの主題が特定の対象(「ポピュラー音楽」)に即してかなり具体的かつ詳細に論じられているので、『啓蒙の弁証法』の「文化産業」の章よりもアドルノの考えを理解しやすくなっています。さらに元々英語で発表されたためか、アドルノの文章としては異例なほど平明で、ストレートに書かれています。こうした点から学部生が文化産業論を学ぶには好適な文章です。(実はもうひとつアドルノが晩年に書いたRésumé über Kulturindustrie という文章もあるのですが未邦訳です。こちらもいずれ時間があれば訳出したいと考えています。)

周知の通り、この論文についてはすでに平凡社から翻訳が出ています。ただ残念ながら、そこでは非常に込み入った訳文になっており、原文の平明さが失われてしまっています。そこで今回、授業用に訳出する時間ができましたので、ここに公開する次第です。おそらく全国の大学には文化産業論やポピュラー音楽を講じる先生や、それについて学びたい学生がかなりいるのではないかと思い、ウェブ公開することにしました。ただし、著作権的に問題ありなのは明らかですので、著作権者から抗議があれば、公開は中止します。なお英語原文はこのサイトで全文公開されています。

ウェブ版ではアドルノが言及している音楽について、YouYube の動画へのリンクを埋め込んでいます。アドルノがこの論考を執筆したとき、どんな音楽が鳴っていたのかを垣間見れると思います。PDF版にはリンクはありません。
<追記>一部の楽曲へのリンク切れを修正しました。(2016. 01. 10)
<追記>訳文を一部手直ししました。(2016. 11. 14)
<追記>楽曲へのリンク切れを修復しました。(2018.11.13)

「ポピュラー音楽について」(ウェブ版、2016年11月14日一部修正)

「ポピュラー音楽について」(PDF版、2016年11月14日一部修正)  

12月 172011
 

内容はタイトルのとおり、青山真治作品におけるDowser(長嶌寛幸+寺井昌輝)の仕事についてです。2007年4月21日に開催された爆音上映オールナイトイベントに合わせてboidが発行したフリーパーパー boid PAPER No.3 に掲載。若干の加筆がなされています。

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12月 172011
 

石井聰互の『エンジェル・ダスト』、青山真治の『名前のない森』など映画の分野でも優れた仕事を続ける音楽家、自称「デスクトップ・パンカー」長嶌寛幸への1998年のインタビューです。この記事ではソロプロジェクトとして紹介されていますが、 Dowser は、現在、三人のユニットとして活動しています。

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12月 052011
 

2006年7月に船場アートカフェで開催された映画祭「リュック・フェラーリ・フェスティバル 世界のざわめき、音の記憶」のパンフレットに掲載した文章を公開します。ウェブ掲載にあたって、一部改稿されています。

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